「ESG投資というものが流行っているらしい」
「自分の投資先にも取り入れた方が利益が出るのではないだろうか」
そんなことを考えていませんか。
実はその考え、間違っています。
ESG投資はあなたの投資パフォーマンスを向上しません。むしろ低下させます。
なぜならESGに力を入れている企業に投資する場合と、
そのような制限を入れずに投資する場合、
後者の方が成績の期待値が高いことが理論的に証明されてるからです。
この記事ではその論理の概要を説明しています。
記事を読み終えると、流行に惑わされず、自身を持って投資の正解となる行動を取れるようになります。
- ESG投資とは
- ESG投資は「制限ありの投資」
- ESG投資は「制限ありの投資」
- 「制限ありの投資」が「制限なしの投資」に勝てない理由
- これまでにも似たような投資手法はあったが、低リターン
- それでもESG投資をしたいというならば
- まとめ
- このブログのエッセンス
ESG投資とは
ESGとは
「ESG」とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。
ただし、現状、ESGについての標準的な定義は存在せず、評価指標についても各評価機関側の判断で行われています。法令などに定められた基準もなく、「世界共通の判断基準がない」というのが一定の認識です。
一般的には、ESGの三つの観点は、以下のように整理できます。
環境(E)
二酸化炭素(CO2)排出量の削減、廃水による水質汚染の改善、海洋中のマイクロプラスチックといった環境問題対策。再生可能エネルギーの使用や生物多様性の確保など
社会(S)
適正な労働条件や男女平等など職場での人権対策。ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランス、児童労働問題、地域社会への貢献など
ガバナンス(G)
業績悪化に直結するような不祥事の回避、リスク管理のための情報開示や法令順守。資本効率に対する意識の高さなど
ESG投資とは
「ESG投資」とは「ESGに配慮した企業に対して投資を行うこと」です。
投資に対する短期的なリターンの追求がグローバルな金融危機を引き起こした反省などから、短期的な利益追求の側面からの企業の評価方法を転換し、気候変動や世界的な労働環境の変化などのリスク対応を含めて企業の長期的な持続可能性を評価する投資が求められています・・・
と、されています。
ESG投資の種類
持続可能なファイナンスを促進する国際団体のGSIA (Global Sustainable Investment Alliance )は、持続可能な投資(sustainable investment)を7つに分けています。
1.ネガティブスクリーニング
環境や社会などに悪影響を及ぼす特定の企業・業種を、投資対象から除外する手法のこと。
一般的には賭博やアルコール、タバコ類に関連する企業・業種などが除外されやすい。
最近では環境配慮の面から、原子力や化石燃料を扱う業界、温室効果ガスを排出する業界が投資対象から除外されるケースも増えてきた。
2.ポジティブスクリーニング
環境や社会などに良い影響を及ぼす企業・業種へ投資をする手法。
具体的な投資先としては温室効果ガスの削減が進んでいる業界や、ダイバーシティに取り組む企業などが挙げられる。
3.国際規範スクリーニング
ESGに関連する国際規範を基準として投資先を選ぶ手法のこと。国際規範に満たないものを除外することで、ESGへの貢献度が高い投資先を選べるようになる。
国際規範にはさまざまなものがあるが、基本的には国際労働機関(ILO)が定める規範や、国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト」などが多く用いられている。
4.ESGインテグレーション
従来の投資で基準としていた「財務情報」と、ESGに関連する「非財務情報」を組み合わせて投資対象を絞っていく手法。
5.サステナビリティ・テーマ投資
ESG投資の中でも、「持続可能性(サステナビリティ)」を重視して投資先を選ぶ手法。
具体的な投資先としては、再生可能エネルギーを取り扱う業界などが挙げられる。
6.インパクト・コミュニティ投資
「環境・社会への好影響」と「経済的なリターン」の両方を重視する投資手法。
環境・社会への影響については、識字率や就学率などの具体的なデータを用いて判断されている。
7.企業エンゲージメント
株主の立場から企業に対してESG経営を促す投資手法。
株主総会で意見をしたり、経営陣と直接面談をしたりなど。
ESG投資は「制限ありの投資」
前述のようにESG投資は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に配慮した企業に対して投資を行うことです。
このうちガバナンスはいいでしょう。情報開示に嘘やごまかしがある企業が収益を上げ続けるのは困難です。
しかし、あとの二つは収益に関係がありません。
CO2排出量が少ないこととその会社の収益が高いことには何の相関もありません。
また、激務で有名でなキーエンスにワーク・ライフ・バランスなど求められるはずもありませんが、高収益の超優良企業です。
ESGへの力の入れ方と投資効果の高さには理論的に一切関係がありません。
ESG投資は、「投資効果よりも人類の幸福の方が大事だ」と本気で考え行動することができる、金持ちのボランティアであることを忘れてはいけません。
ESG投資は「制限ありの投資」
ESGが収益に結びつかないことを無視したとしても、ESG投資は投資収益を棄損します。
なぜならESG投資は「制限あり」、すなわち投資対象から特定のもの(ESGに配慮した企業)に限定しているからです。
制限ありの投資は、制限なしの投資に勝てません。
「制限ありの投資」が「制限なしの投資」に勝てない理由
結論から言います。
投資における最良の方法は、
「
・レバレッジ型バランスファンド または
・世界株式インデックスファンド
を、投資資金の全額分買って持ち続ける
」
です。
これ以外に投資の正解はありません。
どうしてこれが理論上最高の期待値となるのかについて知りたい人は、一番下のリンク「このブログのエッセンス」を読んでください。
必要なページだけを一覧にしてあります。
概要だけ述べますと、以下のようになります。
①相関係数の低い資産を組み合わせると、リスクが小さくリターンが大きくなる。
⓶①の効果が最も大きくなる組み合わせの比率は、全ての資産を時価総額に応じた比率である。
従って、「制限あり投資」は、「全ての資産を時価総額に応じた比率」を実現できたないため、「制限なし投資」に勝てません。
これまでにも似たような投資手法はあったが、低リターン
最近投資にご興味を持たれた方は、「ESGはこれから大事なのだから、ESG投資をした方がいいに違いない」と思ってしまうでしょう。
しかし歴史から学ぶべきです。
これまでの似たような投資手法はたくさんありました。
その時代時代で「これからは〇〇だ」と言われ続けてきたのです。
例えば20年ほどまえには「SRI投資」というものが流行りました。企業の社会的責任(CSR)に配慮した持続可能な経営を求めていく投資のことです。
ではSRI投資は儲かったのか?
今は誰もその名を知らないことから、結果は推して知るべし、です。
それでもESG投資をしたいというならば
前述の通り、「制限あり投資」は、投資における最良の方法、すなわち
「
・レバレッジ型バランスファンド または
・世界株式インデックスファンド
を、投資資金の全額分買って持ち続ける
」
に期待値で勝てません。
しかし期待値で勝てないからと言って、損するわけではありません。
リターンの期待値は
最良の方法>制限あり投資(ESG投資)>0
なので、ESG投資をすることが間違いというわけではありません。
最良の方法との差額は、寄付だと思って諦めるというのは手です。
まとめ
ESG投資はあなたの投資収益を棄損します。
レバレッジ型バランスファンドか全世界株インデックスファンドの購入をおすすめします。
このブログのエッセンス
正直このブログは、以下のページだけ読んでおけばOKです。
投資の正解は理論的に導け出せます。正しい行動をとりましょう。
toushi-no-seikai.hatenablog.jp