投資の正解

長期投資の正解は一つしかありません。

レバレッジの正解

利益が出そう、すなわち儲かりそうな投資商品・手法があるとします。

 

ではそれに、何倍のレバレッジをかけるのが正解なのでしょうか?

 

例えばFXでは、25倍までのレバレッジをかけられる場合が多いです。

ではFXで期待値プラスの投資手法を見つけ出したとき、その手法に25倍のレバレッジをかけるべきでしょうか?

 

答えは否です。

このページでは、その理由について解説しています。

 

他のブログや、あろうことか証券会社ですらも、レバレッジについてはかなりフワッとしたことを書いてありますが、全て勉強不足です。

 

「2+3は、初心者は4くらいに答えておきましょう、うまくいけば6でも正解かもしれません」

という文章がいかに頭が悪いかすぐにわかると思いますが、

レバレッジETFは危険度が高いため初心者の方には非推奨ですが、上手く使えばリスクあたりのリターンを改善させる効果があります。」

というのも同じレベルの間違いなのです。

 

レバレッジについてはもう正解の公式があります。

投資手法・商品に何倍のレバレッジをかけるべきなのか、その計算方法はすでに証明された公式があるのです。

当然、それは初心者とか上手いとか関係がありません。

 

レバレッジとは

レバレッジ(Leverage)とは「てこの原理」という意味ですが、金融業界でレバレッジといった場合には、借り入れを利用することで、自己資金のリターン(収益)を高める効果が期待できることを指します。

 

つなり、「借金をして、自己資金(証拠金)以上の金融商品を買う行為」です。

 

例えば株の信用口座を持っていれば、レバレッジ3倍までかけることができます。

すなわち100万円の自己資金に対し300万円まで株を買うことができます。

 

例えば仮想通貨の口座を持っていれば、レバレッジ2倍までかけることができます。

すなわち100万円の自己資金に対し200万円まで仮想通貨を買うことができます。

 

例えばFXの口座を持っていれば、レバレッジ25倍までかけることができます。

すなわち100万円の自己資金に対し2500万円までFXのポジションを取ることができます。

 

レバレッジ商品の例

TOPIX レバレッジ(2倍)指数(コード:1568,1537)

TOPIXの値動きに2倍のレバレッジをかけたもの

 

日経平均レバレッジ・インデックス(コード:1579)

日経平均の値動きに2倍のレバレッジをかけたもの

 

SPXL

:S&P500の値動きに3倍のレバレッジをかけたもの

 

S&P500・4倍ブル型ファンド

:S&P500の値動きに4倍のレバレッジをかけたもの

 

レバナス

NASDAQの値動きに2倍のレバレッジをかけたもの

 

レバレッジが高すぎるとマイナスになる例

中学や高校数学の期待値の知識レベルだと、

「期待値がプラスだと、レバレッジは高ければ高いほどいいに決まっている」

と思ってしまいます。

 

なぜなら、

「期待値がプラスなら、レバレッジをかければかけるだけ期待値は大きくなる」

からです。これは間違っていません。

 

しかし投資は期待値(算術平均リターン)で判断してはいけないのです。

 

実は期待値(算術平均リターン)がプラスでも、損をするパターンがあります。

投資は幾何平均リターンで判断しなければいけないのです。

 

これらについては以下の記事が詳しいです。

 

toushi-no-seikai.hatenablog.jp

 

では実際に、以下のような値動き(30%,-20%,-20%,30%)をする投資商品があったと考えてみましょう。

このときの期待値(平均リターン)は5%となります。

  リスク資産
リスク 25.00%
平均リターン 5.00%
1年目 30%
2年目 -20%
3年目 -20%
4年目 30%

 

しかし、この投資商品に対しては、レバレッジ2倍や3倍どころか、「レバレッジ0.8倍」が最も最もリターンが大きくなる戦略です。

 

レバレッジ1倍、すなわち(借金せずに)全力買いよりも、レバレッジ0.8倍、すなわち現金比率2割が最もリターンが大きくなることに注意してください。

 

またレバレッジ3倍をかけたらどうなるかについても注目。

例えば100万円から始めたとして、1年目こそ100万円×3=300万円投資した状態で+30%、つまり+90万円を得ることができ、資産は190万円に増えます。

しかし2年目で、190万円×3=570万円投資した状態で-20%、つまり-114万円を食らうことになり、資産は76万円にまで減ってしまいます。

1年目+30%、2年目ー20%(=平均5%)にも拘わらず、レバレッジを3倍かけると100万円が76万円になってしまうのです。

 

この例については以下の記事に詳しいです。

 

toushi-no-seikai.hatenablog.jp

レバレッジの公式(最適レバレッジ

「期待値(算術平均リターン)がプラスであっても、レバレッジは高ければ高いほどいいというわけではない」ことが肌感覚で理解できましたでしょうか。

 

ではどうやってリターンが最大になるレバレッジ、すなわち最適レバレッジを求めることができるのでしょうか。

 

非常に単純な公式で求めることができます。

それは

μ/σ^2(μ:期待値 σ:リスク)

です。

 

さきほどの例では期待値5%、リスク25%でしたので、

0.05/0.25^2=0.8

となり、0.8倍レバレッジのときに最大リターンとなり、これよりもレバレッジ低くても高くてもリターンは減ります。

 

詳しくはこの記事に詳しいです。

 

toushi-no-seikai.hatenablog.jp

 

また「リスク25%」と聞いて「悪いことが起きる確率が25%?どういうことだろう」と思ってしまった人は先に下の記事を読む必要があります。

金融において「リスク」とは、我々が日常で使う「リスク」とは全く異なる意味をもつ別単語であると思った方がいいです。

 

toushi-no-seikai.hatenablog.jp

 

最適レバレッジ早見表

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μ/σ^2のイメージがつかない人のために、上のようなグラフを用意しました。

4本のラインはそれぞれ、最適レバレッジが1~4倍、すなわち最も収益が大きくなるレバレッジが1~4倍になる条件を線で結んだものです。

 

例えば、株のリスクはだいたい20%です。

それに対し、リターンが16%くらいだろう、と思えば4倍のレバレッジかけるのが正解、という見方になります。

 

ちなみに実際の株のリターンはだいたい5%です。

つまり、株においてはレバレッジ1倍では物足りなく、さりとて2倍は掛けすぎ、というのが最適解となります。

最適レバレッジ リスク
10% 11% 12% 13% 14% 15% 16% 17% 18% 19% 20% 21% 22% 23% 24% 25% 26% 27% 28% 29% 30%
リターン 1% 1.00 0.83 0.69 0.59 0.51 0.44 0.39 0.35 0.31 0.28 0.25 0.23 0.21 0.19 0.17 0.16 0.15 0.14 0.13 0.12 0.11
2% 2.00 1.65 1.39 1.18 1.02 0.89 0.78 0.69 0.62 0.55 0.50 0.45 0.41 0.38 0.35 0.32 0.30 0.27 0.26 0.24 0.22
3% 3.00 2.48 2.08 1.78 1.53 1.33 1.17 1.04 0.93 0.83 0.75 0.68 0.62 0.57 0.52 0.48 0.44 0.41 0.38 0.36 0.33
4% 4.00 3.31 2.78 2.37 2.04 1.78 1.56 1.38 1.23 1.11 1.00 0.91 0.83 0.76 0.69 0.64 0.59 0.55 0.51 0.48 0.44
5% 5.00 4.13 3.47 2.96 2.55 2.22 1.95 1.73 1.54 1.39 1.25 1.13 1.03 0.95 0.87 0.80 0.74 0.69 0.64 0.59 0.56
6% 6.00 4.96 4.17 3.55 3.06 2.67 2.34 2.08 1.85 1.66 1.50 1.36 1.24 1.13 1.04 0.96 0.89 0.82 0.77 0.71 0.67
7% 7.00 5.79 4.86 4.14 3.57 3.11 2.73 2.42 2.16 1.94 1.75 1.59 1.45 1.32 1.22 1.12 1.04 0.96 0.89 0.83 0.78
8% 8.00 6.61 5.56 4.73 4.08 3.56 3.13 2.77 2.47 2.22 2.00 1.81 1.65 1.51 1.39 1.28 1.18 1.10 1.02 0.95 0.89
9% 9.00 7.44 6.25 5.33 4.59 4.00 3.52 3.11 2.78 2.49 2.25 2.04 1.86 1.70 1.56 1.44 1.33 1.23 1.15 1.07 1.00
10% 10.00 8.26 6.94 5.92 5.10 4.44 3.91 3.46 3.09 2.77 2.50 2.27 2.07 1.89 1.74 1.60 1.48 1.37 1.28 1.19 1.11
11% 11.00 9.09 7.64 6.51 5.61 4.89 4.30 3.81 3.40 3.05 2.75 2.49 2.27 2.08 1.91 1.76 1.63 1.51 1.40 1.31 1.22
12% 12.00 9.92 8.33 7.10 6.12 5.33 4.69 4.15 3.70 3.32 3.00 2.72 2.48 2.27 2.08 1.92 1.78 1.65 1.53 1.43 1.33
13% 13.00 10.74 9.03 7.69 6.63 5.78 5.08 4.50 4.01 3.60 3.25 2.95 2.69 2.46 2.26 2.08 1.92 1.78 1.66 1.55 1.44
14% 14.00 11.57 9.72 8.28 7.14 6.22 5.47 4.84 4.32 3.88 3.50 3.17 2.89 2.65 2.43 2.24 2.07 1.92 1.79 1.66 1.56
15% 15.00 12.40 10.42 8.88 7.65 6.67 5.86 5.19 4.63 4.16 3.75 3.40 3.10 2.84 2.60 2.40 2.22 2.06 1.91 1.78 1.67
16% 16.00 13.22 11.11 9.47 8.16 7.11 6.25 5.54 4.94 4.43 4.00 3.63 3.31 3.02 2.78 2.56 2.37 2.19 2.04 1.90 1.78
17% 17.00 14.05 11.81 10.06 8.67 7.56 6.64 5.88 5.25 4.71 4.25 3.85 3.51 3.21 2.95 2.72 2.51 2.33 2.17 2.02 1.89
18% 18.00 14.88 12.50 10.65 9.18 8.00 7.03 6.23 5.56 4.99 4.50 4.08 3.72 3.40 3.13 2.88 2.66 2.47 2.30 2.14 2.00
19% 19.00 15.70 13.19 11.24 9.69 8.44 7.42 6.57 5.86 5.26 4.75 4.31 3.93 3.59 3.30 3.04 2.81 2.61 2.42 2.26 2.11
20% 20.00 16.53 13.89 11.83 10.20 8.89 7.81 6.92 6.17 5.54 5.00 4.54 4.13 3.78 3.47 3.20 2.96 2.74 2.55 2.38 2.22

さらに詳しい表がこちら。

さきほどのリスク20%、リターン5%の最適レバレッジは1.25倍となっております。

 

株のリスク・リターンを20%・5%と推定するのならば、最適レバレッジを1.25倍であり、それ以上多くかけても少なくかけても収益は少なくなる、ということです。

レバレッジ商品への対応

さて、レバレッジ商品には2倍、3倍、4倍のものがあります。

 

これらを買う前に、今後、それらの投資商品のリスクとリターンはいくらくらいになると見積もる必要があります。

 

上のグラフからわかるように、リスク20%程度の投資商品において、4倍レバレッジが収益最大となるためには、リターンは16%以上必要です。

 

ここ数年の米国の、歴史的に見ても大変稀なリターンがいつまでも続くと思っているな

S&P500・4倍ブル型ファンド(S&P500の値動きに4倍のレバレッジ)が正解です。

 

しかし過去ではなく歴史を見るべきです。

歴史的に、どんな期間であってもリスクは20%でそう変わりませんが、リターンは5%程度とみるべきです。

 

そうなったとき、4倍ものレバレッジをかけていると、むしろマイナスになる可能性すらあるのです。

 

投資手法への対応

FXなどで、

「1回の取引で平均1%勝てる手法を見つけたぞ」

と思っても、25倍ものレバレッジをかけてはいけません。

 

その手法のリスク、すなわちばらつきが10%程度あれば、むしろレバレッジを一切かけない方がいいのです。

(上の表のリターン1%、リスク10%の最適レバレッジ「1.00」を参照)

 

まとめ

このように、レバレッジをかける前には

・自分の投資商品、手法のリスク・リターンを見積もる

・上の表やグラフで、そのリスク・リターンにおける最適なレバレッジが何倍かを調べる

ことが必要です。

 

何度も言いますが、最適レバレッジ以上のレバレッジをかけると、むしろあなたの損益は減少するのです。

 

このブログのエッセンス

正直このブログは、以下のページだけ読んでおけばOKです。

投資の正解は理論的に導け出せます。正しい行動をとりましょう。

 

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