平均リターンとは
投資における「リターン」は投資収益(または投資収益率)と呼ばれ、「リターンはいくら(○○円)」「リターンは何%(○○%)」という使われ方をする。
平均リターンの求め方
求め方は大変単純で、
①全部足して
②足した個数で割る
とうもの。
その名の通り、リターンの平均を取っているだけである。
例えば投資対象Aのリターンが
1年目:40%
2年目:ー30%
3年目:40%
4年目:ー30%
だった場合、この商品Aの4年間の平均リターンは
(40-30+30-40)/4=5%
となる。
平均リターンの罠1
さて我が国の教育の大きな欠陥の一つに、学校教育で一切のマネー教育を行わないということが挙げられる。
このため日本国の若者は、投資に興味を持った際に、一切の基礎知識なく投資商品を選ばなくてはならない。
その乏しい判断要素の中で唯一理解できそうな数値が、この「平均リターン」である。
その名前から、「きっと平均リターンが最も大きいものが、最も期待値が高いのだろう」と思い込んでしまう。
まずはこれがとんでもない誤解であるということを、ご理解いただこう。
投資商品Aの正体
実際に、100万円をAに投資したと想定し、期待通りの挙動を示したとしよう。
つまりよくもなく悪くもなく、
1年目は+40%
2年目はー30%
だったとき、2年後に100万円がいくらになるのか計算してみよう。
1年目は100万円の+40%→140万円
である。
2年目は140万円のー30%→98万円
である。
・・・おわかりだろうか。
投資先Aは100万円が、98万円になるのである。
平均リターン5%の投資先が期待通りの挙動をした場合、お金が減るのだ。
さらっと言ったが必ず自分で計算してほしい。
逆パターン、すなわち
1年目はー30%
2年目は+40%
の場合も計算してみるといい。同じく98万円になる。
自分で計算して、どこにも誤魔化しがないと腑に落ちたとき、目から鱗が落ちる思いをすることだろう。
減るのだ。
平均リターン+5%の投資先に投資したのに、お金はどんどん減ってゆくのだ。
もちろんこの投資商品Aは架空のものであり、実際にこのような投資商品は存在しない。
しかし、平均リターンで投資判断を行うことの愚かしさは、十分わかっていただけたことと思う。
平均リターンの罠2
また平均リターンの大きな欠点として、
「その投資商品に10年投資したらいくらくらいになりそうか?」
ということが分からない点を挙げたい。
平均リターン5%の投資商品を10年保持したとして、いくらくらいになるのだろうか。
「5%×10=50%増えるんでしょ」
などと考える本当の無知は無視するとして、
大多数の人は
「複利くらい理解している。1.05の10乗を計算して約63%増えますな」
などと平然と間違ったことをのたまう。
投資商品Aは、10年後に「-10%」となる。
こんな数字は投資商品Aの「平均リターン5%」から全く想像がつかない。
一方、定期預金の平均リターン(利子)が5%というのなら、「約63%増える」が正解となる。
「平均リターン5%の投資商品を10年保持したとして、いくらくらいになるのだろうか。」
という問いの正解はただ一つ、「情報が足りないので答えられない」である。
平均リターンだけで投資先を選んではいけない
平均リターンが5%で、運よくも悪くもなく価格が推移しても、利益がマイナスになりうることを示した。
これが平均リターンの詐欺だ。
平均リターン単体で投資商品を比較してはいけないのである。
では単体で投資商品を比較するとしたら、どのような数値を使えばよいのだろうか。
次ページで解説する。