投資の正解

長期投資の正解は一つしかありません。

レバレッジ商品は「買うな」も「買え」も嘘【NASDAQ100、SPXLを例に】

レバレッジ商品は買うな。なぜなら減価するから」

という意見を聞いたことがあるかもしれません。

 

嘘です。

というより多分、勉強不足です。

 

レバレッジ商品を買おう。

 NASDAQ100に2倍レバレッジをかけた商品を買え(ifree レバレッジ nasdaq100)。

 S&P500に3倍レバレッジをかけた商品を買え(SPXL)」

という意見を聞いたことがあるかもしれません。

 

嘘です。

嘘というか、それは投資ではなくギャンブルです。

 

この記事では

・結局レバレッジ商品は買っていいのか買ってはいけないのか

・NASDAQ100やSPXLについてどういう姿勢で考えればいいのが

・どういう行動があなたのお金を一番増やしてくれる可能性が高いのか

などについて解説していきます。

 レバレッジ商品は「買うな」の嘘

よく言われる「減価」の嘘

株式投資をやっていると、こんなフレーズをよく聞くと思います。

レバレッジETFは、減価するから気を付けること」
ほとんど定説となっていて、様々なサイトを片っ端から見ていっても当り前のように語られています。

 

例えば以下の図。楽天証券のコラムから拝借しています。

f:id:meido-kin-yu:20210821230759p:plain

「ごらんなさい。元の指数(青)は±0なのに、レバレッジETF(赤)は下がっていくでしょう!」

と。こう言うわけです。だからレバレッジETFは長期で買ってはいけない、と。

 

私はもう情けなくて仕方がない。

日本を代表する大手証券会社のコラムが、こんな嘘(というより勉強不足)を晒しているのです。

 

タチが悪いのはこれ、言っていることは一部合っていること。

「元の指数は±0なのに、レバレッジETFは下がっていく」は合ってます。これは間違いじゃありません。

 

「だからどんなレバレッジETFも長期で買ってはいけない」が間違っているのです。

 

 

こんなの素人が気づくはずがない。

 

少し金融工学を勉強すればおかしいのがわかることなのに、このような間違った説明をしている大手証券会社は多いです。

このようなミスリードによって、レバレッジETFに対する理解を誤って、抵抗感を持っている人が非常に多いと思います。

 

彼らの罪は重いと思います。

 

投資商品には「最適レバレッジ」がある

リターンのブレがある(=リスクのある)投資商品には、最も得られるお金が大きくなる「最適レバレッジ」というものがあります。

 

その最適レバレッジより小さいレバレッジをかけると、小さければ小さいほど得られるお金が減っていきます。

そして最小なのは、レバレッジ0倍のときにリターン0になります。

これは理解しやすいでしょう。

 

面白いことに、最適レバレッジ以上のレバレッジをかけると、かければかけるほど逆に得られるお金が減っていきます。

そしてこれに最小はありません。レバレッジを極端に大きくかけると、リターンはマイナスになる、すなわちやればやるほど損をします。

 

リターンがプラスでも、レバレッジをかけすぎてはいけないのです。

 

詳しくは以下のページで解説してあります。

 

toushi-no-seikai.hatenablog.jp

 

概要だけいうと、

・平均リターンμ

・リスクσ

の最適レバレッジ

μ/σ^2

です。

 

大事なことなので繰り返しますが、

・μ/σ^2倍レバレッジをかけたときが最もリターンが大きくなり

・それ以上レバレッジをかけるとリターンは小さくなり続けます。

 

「減価」で出てくる例の最適レバレッジは0.5倍

では上の図のような動きをする投資商品(青)の最適レバレッジはいくらでしょうか。

 

0.5倍です。

 

上の例に限らず、最終的に±0になるような値動きをする投資商品の最適レバレッジは0.5倍なのです。

一応計算は載せますが、結論さえ覚えてくれればいいです(なので灰色で載せます)。また計算過程にこの知識が必要です。

 

toushi-no-seikai.hatenablog.jp

 最終的に±0ということは、幾何平均リターンμ-σ^2/2=0ということ。

すなわちμ=σ^2/2。

これを最適レバレッジμ/σ^2に代入すると0.5となる。

つまりリターンμ、リスクσが何であれ、最終的に±0になる投資商品の最適レバレッジは常に0.5倍である。

 

「減価」で出てくる例も、レバレッジ0.5倍ならリターンはプラスになる

 

結論:レバレッジ商品は「買うな」は嘘

上の例が卑怯なのは、青が「日経平均株価」という株式の指数であり、赤は何となく(ハイリスク)ハイリターン商品のレバレッジであるという勘違いをさせること。

 

ところが青は、そもそもの指数が±0という、すさまじくリターンが低く、リスクが大きい投資商品なのです。

 

そしてその2倍レバレッジである赤が損をする理由は、

・そんなクソみたいな投資商品の最適レバレッジは0.5倍なのに、2倍という大きすぎるレバレッジをかけている。

ことに尽きます。

 

逆に言えば、

・リターン/リスクの比が大きく、最適レバレッジが1を超える投資商品には、レバレッジをかけた方がリターンが大きい。すなわちレバレッジ商品を(最適レバレッジまでは)買った方がよい

のです。

 

従って、レバレッジ商品を「買うな」は嘘なのです。

 

レバレッジ商品を「買え」の嘘

ifree レバレッジ nasdaq100とは

iFreeレバレッジNASDAQ100は、米国のNASDAQ100指数を対象にしたレバレッジ型ファンドです。

日々の基準価額の値動きがNASDAQ100指数(米ドルベース)の値動きの2倍程度となることをめざす投資信託です。

 nasdaq100の最適レバレッジ

では元となる指数、NASDAQ100の最適レバレッジはいくらでしょうか。

 

全世界株の長期データでリスク・リターンを算出すると、1.5倍程度です。

理論的に期待値最高の全世界株で1.5倍程度なので、当然NASDAQ100の最適レバレッジは1.5倍未満です。

 

最強に上振れているここ10年の米国株でリスク・リターンを算出しても、1.7倍程度です。

 

どう考えても、2倍は少しやりすぎです。

 

結論:「ifree レバレッジ nasdaq100を買え」は嘘

iFreeレバレッジNASDAQ100は、少なくとも投資金額100%買ってはいけません。

 

ただし、NASDAQ100の所持率が投資資金の1.3~1.4倍になるよう、

iFreeレバレッジNASDAQ100:現金=70:30

というポートフォリオを組んで適宜リバランスをする、という手はなくはありません。

 

しかしこの手法より、NASDAQ100という限定されたセクターより、全米株(SPXL)で比率を調整した方がいいです。

 

「いや、現にiFreeレバレッジNASDAQ100は設定以来とんでもないパフォーマンスをただき出しているじゃないか」

という意見を持つ人もいるでしょう。

 

それは単純に、ギャンブルに勝っただけです。

サイコロでいえば、6の目が何連続も出ただけです。

 

あなたの投資人生、今後何十年かはわかりませんが、長期的には全世界株に負ける可能性が高いのです。

 

SPXLとは

SPXLは、米国のS&P500を対象にしたレバレッジ型ファンドです。

日々の基準価額の値動きがS&P500(米ドルベース)の値動きの2倍程度となることをめざす投資信託です。

S&P500の最適レバレッジ

では元となる指数、S&P500の最適レバレッジはいくらでしょうか。

 

全世界株の長期データでリスク・リターンを算出すると、1.5倍程度です。

理論的に期待値最高の全世界株で1.5倍程度なので、当然S&P500の最適レバレッジは1.5倍未満です。

 

最強に上振れているここ10年の米国株でリスク・リターンを算出しても、1.7倍程度です。

 

どう考えても、3倍は少しやりすぎです。

というかおそらく1倍すら下回ります。

 

結論:「SPXLを買え」は嘘

SPXLは、少なくとも投資金額100%買ってはいけません。

 

ただし、S&P500の所持率が投資資金の1.5倍になるよう、

SPXL:現金=50:50

というポートフォリオを組んで適宜リバランスをする、という手はなくはありません。

 

増えるお金の期待値が一番高い方法

増えるお金の期待値が一番高い方法は、理論的に導きだせます。

これによれば、値動きの異なる投資商品は多ければ多いほどいいため、

米国株、ましてやNASDAQ100に限定することはただただ期待値を下げるだけです。

詳しくは以下に解説しています。

 

toushi-no-seikai.hatenablog.jp

 

ここ10年、米国株は最強でした。

しかしその10年前は、中国やインドの成長に負けて全世界株に惨敗していたのです。

 

あなたの投資人生、今後何十年かはわかりませんが、長期的には米国株、ましてやNASDAQ100に限定することは、全世界株に負ける可能性が高いのです。

 

 

また、リスク・リターンを鑑みると、株でレバレッジ2倍や3倍はやりすぎです。

1.5倍以上は買ってはいけないことは理論的に明らかなので、注意して下さい。