投資の正解

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【問題5】なぜインデックスファンドは最強か

問題5

(1)株式市場全体の効率的フロンティアはどのようになっているだろうか。

(2)また、インデックスファンドはどこに位置するであろうか。

 

3資産の効率的フロンティア

大変単純な問題である。

 

前ページまでで、

・2つの金融商品の比率を変えたポートフォリオのリスク・リターンを線で繋ぐと曲線になる。

・その曲線を効率的フロンティアという

ことを学習した。

 

では3つ以上の効率的フロンティアはどのようなものになるのか。

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https://from0investment.hatenablog.com/entry/2019/08/19/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AA%E3%82%AA%E7%90%86%E8%AB%961_%3A%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%81%A8%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AA%E3%82%AA

上の図を見てほしい。赤い3点が3つの資産のリスク・リターンだ。

 

そのうち2つを使っても効率的フロンティアが描けるが、3つ使った方がさらに左に膨らんだ曲線の効率的フロンティアが描けるのがわかるだろう。

すなわち同じリスクで得られるリターンが大きくなるのである。

 

 

市場全体の効率的フロンティア

では次に3つより多い資産、例えば日本市場には4000社近い企業が上場しているが、それらすべてを使った効率的フロンティアはどのようになるのだろうか。

 

 

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http://www.investlife.jp/img/IL201606_okamoto_PortTheory2.pdf に注記

 

上図からわかる通り、やはり曲線として描けるのである。

 

 

さて、このうち

シャープレシオ最大の点X(効率的ポートフォリオ

・最強の指標μ-σ^2/2最大である点Y

がこの効率的フロンティア上に存在する。

 

この点X(効率的ポートフォリオ)と、時価総額加重平均は一致するという性質がある。

 

この証明は大変難しい。

このブログに書かれていることのほとんどが中学生レベルの知識で理解できるが、

ここは無理である。

 

興味がある人はwikipediaにもあるので調べてみてほしい。

 

 

さて、ここで覚えておいてほしい点がある。

・最強の指標μ-σ^2/2最大の点は、

  ①各資産のリターン・リスク・相関係数から求める方法

 がある。

シャープレシオ最大の点は、

  ①各資産のリターン・リスク・相関係数から求める方法

  ②時価総額加重平均から求める方法

 の二通りの方法がある。

 

 

時価総額加重平均

市場全体の株価を表す指標には、

株価平均型の株価指数

時価総額加重平均型の株価指数

の2種類がある。

 

株価平均型は、文字通り単純に株価を基に計算(平均)しただけなので、やたらと株価が動くいわゆる小型株の影響を受けやすい。

 

時価総額加重平均型は、時価総額基に計算したものなので、時価総額が大きい大型株の影響を受けやすい。

 

日本株式市場でいえば日経平均は①にあたり、TOPIXは②にあたる。

 

 

インデックスファンドの種類

市場全体の株価を表す指標に二種類あるため、それに追随するよう設計されたインデックスファンドがそれぞれ存在する。

 

しかし、上で説明した通り、時価総額加重平均型の株価指数を構成するポートフォリオは、シャープレシオ最大なのである。

 

従って、

時価総額加重平均型の株価指数に追随するようなインデックスファンドは投資の選択肢となりうる

・株価平均型の株価指数に追随するようなインデックスファンドは投資の選択肢とならない

 

 

解答

ということで問題5の解答としては、

(1)上図のような効率的フロンティアになる

(2)効率的フロンティアの中でシャープレシオ最大の点が、時価総額加重平均型インデックスファンドと一致する。

(株価平均型のインデックスファンドはどこか知らないが、投資効率の点で時価総額加重平均型インデックスの下位互換なので気にする必要がない)

となる。

 

 

 

時価総額加重平均型)インデックスファンドが個別株に比べて最強の理由

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【事実1】

上の図を見ていただければわかるが、個別株をどのような銘柄をどのような比率で組み合わせても、インデックスファンドにシャープレシオで勝てないことが証明されている。

【事実2】

最強の指標μ-σ^2/2でインデックスファンドに勝てるポートフォリオが本当に少数(点Yなど)存在するはずだが、それがどのようなものかは誰もわからない。

 

これまでの説明から、事実1,2を確認してほしい。

 

事実2がある以上、インデックスファンドに期待値で勝てるポートフォリオを組むのはほぼ不可能と思っていい。

 

このような状況下で、あえて個別株を購入する必要があるだろうか。

 

期待値は劣るのに、自分だけは高いリターンを得られると思うのなら、それは投資ではなくギャンブルである。

 

 

全世界か特定の国(米国など)か

全世界株に投資するのがいいのか、世界経済の中心である米国株に投資するのがいいのか。

 

これもこのページで説明した話を拡張すると、すぐにわかる話である。

どちらもμ-σ^2/2最大のポートフォリオはわからないので、シャープレシオを比較すると、

 

全世界の株式の時価総額加重平均したもののポートフォリオ

>米国だけの株式の時価総額加重平均したもののポートフォリオ

 

となる。

 

理論的には全世界株式のインデックスファンドを選ぶ方が期待値が高いのだ。

 

ここ10年の米国株の伸びは凄まじかった。

だから、「全世界株ではなく成長著しい米国株に投資すべきだ」などという風説にみんな騙される。

 

期待値で考えよう。

また、そもそもその前の10年はBRICSや中国の伸びによって米国株は全世界株に惨敗していることを忘れてはならない。

 

何度も言うが理論的には全世界株式のインデックスファンドを選ぶ方が期待値が高い。

それでも米国株を選んだ方が高いリターンを得られると思うのなら、それは投資ではなくギャンブルである。